毎日新聞2018年2月10日 東京朝刊

 産経新聞が沖縄で起きた交通事故の際、「米兵が日本人を救出した」と報じた記事について「事実が確認できなかった」として削除した。

 昨年12月1日、沖縄市で車6台が絡む多重事故が起き、米海兵隊の曹長が横転した車から日本人を救った後、後続車にはねられて重体になった、というのが記事の骨格だ。

 同紙は元日の論説委員長論文でも「美談」として紹介し、米兵に「心から謝意を表したい」と書いた。

 残念ながらメディアは間違えることがある。だからこそ、私たちも他山の石として自戒したい。

 ただし、今回の産経記事が特異なのは、琉球新報と沖縄タイムスの地元2紙が米兵の行動を「黙殺」していると一方的に非難し、インターネット版では「メディア、報道機関を名乗る資格はない。日本人として恥だ」とののしったことだ。

 地元2紙は独自に検証した結果、米海兵隊から「救助行為はしていない」との回答があり、沖縄県警も事実を確認していないと報じた。産経が記事化に際して県警に取材をしていなかったことも分かった。

 8日の産経朝刊によると、記事は米兵の妻の「フェイスブックや米テレビの報道」が端緒だったらしい。基礎的な情報が集まる警察取材を怠ったというのは理解し難い。

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