2018年4月17日05時00分

 政権の統治能力が疑われる事態である。

 森友問題をめぐる決裁文書の改ざんや口裏あわせで揺れる財務省で、今度は事務方トップのセクハラ疑惑が表面化した。

 福田淳一事務次官が女性記者を自宅近くのバーに呼び出し、「胸触っていい?」「浮気しよう」といった言葉を繰り返したと、12日発売の週刊新潮が報じた。その時のやりとりとされる音声データの一部も、ネット上に公開されている。

 財務省はきのう、部下である官房長らの聴取に対し、福田氏は疑惑を否定したと発表した。だが、与党内からも辞任を求める声が上がっており、混乱は収まりそうにない。

 この間、福田氏は記者団から逃げ回り、取材にまともに答えようとしなかった。報道が事実と異なるのであれば、ただちに反論できたはずなのに、なぜそうしなかったのか。

 氏は一方で、「報道が出てしまったこと自体が、不徳のいたすところ」などと述べているという。どういう意味なのか。記者会見を開いて、自らの口できちんと説明するべきだ。

 麻生財務相の対応の鈍さ、危機感の薄さにも驚く。

 報道当日、国会で追及されると、本人から簡単な報告があったとしたうえで、「十分な反省があったと思うので、それ以上聞くつもりはない」と、事実確認すらしない考えを示した。

 翌日の記者会見では、「事実だとするなら、それはセクハラという意味ではアウトだ」との認識を示しながら、「本人の長い間の実績等々を踏まえれば、能力に欠けるとは判断していない」と擁護した。官房長に調査を指示したのは、音声データが公開されてからだ。

 その遅ればせの調査についても、大きな疑問がある。

 財務省の記者クラブに加盟している報道各社に対し、被害を受けた女性記者がいれば、同省が調査を委託した弁護士事務所に連絡して調査に協力するよう、文書で要請した。

 要は、女性の側に名乗り出よということだ。「不利益が生じないように対応する」と言ってはいる。だが、それを保証する手立てや寄せられた情報の扱いについては何の言及もない。

 本当に事態を解明する意欲があるのか。相手方の保護をどう考えているのか。ここでも一般常識との溝が際立つ。

 森友問題ですでに財務省の信頼は地に落ちている。国の予算と税制を差配する要の役所がこのありさまでは、政権自体が立ちゆかない。