東京新聞 2018年4月3日 朝刊

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 小野寺五典(いつのり)防衛相は二日午後、二〇〇四~〇六年に人道復興支援でイラクに派遣された陸上自衛隊の活動に関する日報が、防衛省内に保管されていたと明らかにした。同省で記者団に語った。

日報は昨年二月の国会で、当時の稲田朋美防衛相が「残っていない」と答えていたが、今年一月までに陸上幕僚監部で存在を把握していた。

陸自の南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報隠蔽(いんぺい)に続き、同省のずさんな文書管理が明らかとなった。 (新開浩)

 小野寺氏は、イラク派遣部隊の日報をこれまで確認できなかったことについて「おわび申し上げたい」と陳謝した。

 防衛省が保管を確認したのは、イラク復興支援群などの三つの部隊が、〇四年一月から〇六年九月に作成した延べ三百七十六日分の計約一万四千ページ。同省は公開可能な文書かどうかを確認した上で、今月中旬をめどに日報の提供を求めた野党議員に提出する方針。

 同省は昨年七月末、南スーダンPKOの日報隠蔽を受けた再発防止策をまとめ陸海空の自衛隊を統合運用する統合幕僚監部が全ての日報を一括管理し、十年間保存することを決めた。

 この方針に沿い、陸上幕僚監部が昨年十一月、全国の各部隊に保有する文書の確認を指示したところ、陸幕の衛生部と研究本部が今年一月までに、イラク派遣部隊の日報を紙と電子データで保管していたことを見つけた。研究本部が一月十二日、日報を保管していたことを陸幕総務課に報告。陸幕は二月二十七日になって統幕に報告したという。

 防衛省の担当者は、昨年二月時点では日報が残っていないとしていたことについて「できる範囲で調べたが、確認できなかった」と、隠蔽の意図はなかったことを強調した。

 イラク派遣部隊の日報には、南スーダンPKOの日報問題が国会で議論されていた昨年二月、当時の民進、共産両党の議員が質問や資料請求を行った。

◆ずさん文書調査 また

<解説> 南スーダンPKOに続きイラク人道復興支援活動でも、防衛省が当初は存在しないと説明していた日報が見つかった。同省がずさんな文書調査の姿勢を改めない限り、隠蔽体質に対する疑念は拭い切れない。

PKO日報では、防衛省は当初、陸上幕僚監部が廃棄したと説明。その後に陸幕内でも保管していたことが判明し、最終的に陸幕や内局の幹部による組織的な隠蔽が認定された。

 同省の担当者によると、イラク派遣部隊の日報は、昨年三月、今回日報が発見された陸幕の研究本部を調査した際は「日報はない」との報告。だが研究本部は今年一月になって、一転して存在を報告してきた。

 同じ陸自内で「ない」とした日報が実は存在していたという構図は、隠蔽が認定されたPKO日報と全く同じ。しかも今回、日報が見つかったのは「教訓業務各種資料」という表題のファイル内だった。日報と教訓との関連性は強いはずだが、研究本部が昨年、このファイル内を調べたかどうかも、防衛省は把握できていないという。

 陸幕で日報の存在を把握してから発表までに時間がかかった不自然さも残る。説明責任はしっかり果たす必要がある。 (新開浩)