毎日新聞 2/13(火) 22:24
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「森友学園」問題を巡る国会答弁と新文書のポイント

 学校法人「森友学園」への国有地売却問題で、佐川宣寿国税庁長官(前財務省理財局長)の昨年の国会答弁に批判が強まっている。交渉記録を佐川氏は「廃棄した」と説明していたが、同省が今月公表した内部文書には契約を巡るやり取りが詳細に記されており、13日の衆院予算委員会で野党は「虚偽答弁」と改めて追及した。内部文書からは、交渉内容を記録するよう省内で注意喚起されていたことも判明。佐川氏の答弁の根幹が揺らいでいる。

 「うそに近いと言っても過言じゃない。新たな資料には交渉記録が書いてある」。13日の衆院予算委で、立憲民主党の長妻昭代表代行は語気を強めた。

 財務省は今月9日、同省近畿財務局が2015年5月に学園側と大阪府豊中市の国有地の賃貸契約を結んだ際の法律相談に関する20件の文書を公表した。財務局内の国有財産を管理する部署と法務担当部署の間で13年8月~15年4月、法的問題がないかなどを照会、回答するやり取りなどが記録されており、計300ページ超に及ぶ。

このうち、15年4月2日付の文書では、学園側が小学校の早期開校に向け契約を急いでいたことを踏まえ、法務担当者が交渉担当者に「交渉の長期化について(学園側から)何らかの損害賠償を請求される可能性がある」と指摘。「相手方とのやり取りを整理し、可能な限り証拠を収集しておく必要があると考えられる」と注意を促していた。

 しかし、佐川氏は昨年3月の国会審議で「メールのやり取りとか面会記録等につきましても、事案が終了しているということで残ってございません」などと繰り返し説明。答弁通りであれば、同省は法務担当者の助言を聞き入れずに書類を廃棄していたことになり、仮に保存しているなら、佐川氏の説明が根底から覆ることになってしまう。

 このほか、佐川氏は昨年3月、同省による国有地処分の一般的な対応に関して「事前に先方側に私どもの価格をお知らせすることはございません」と強調。ところが、新たな文書には、森友学園との賃貸交渉の過程で15年1月9日に「不動産鑑定士からの貸付料鑑定結果が出たことから、当局が学校法人を訪問し、国の貸付料の概算額を伝える」と記載されていた。

衆院予算委で長妻氏は「佐川氏も『概算額は伝えた』と当時答弁すればいいじゃないか」と批判したが、麻生太郎副総理兼財務相は「具体的な金額の提示はない」と強弁した。

 13日の衆院予算委では、財務省が新文書20件を会計検査院に提出した時期も問題視された。検査院の戸田直行第3局長は、昨年11月に検査報告が出た後の12月21日と今年2月5日だったと認めた上で、提出を要求したのに同省が出さなかったのか否かについては「現在精査中」と答弁。野党は、故意に文書を提出しなかった可能性があるとして追及する構えだ。【杉本修作】

 ◇近畿財務局、森友学園に協力堅持

 新たな2013年8月~15年4月の文書20件には、近畿財務局が最初から、森友学園の「強い要望」で異例の賃貸借契約を結ぶ方針で臨み、学園の要求に振り回されながらも、協力姿勢を「堅持」する交渉の様子が記されていた。

麻生太郎副総理兼財務相は13日の衆院予算委で、新文書について、「廃棄した」としてきた面会記録には当たらないと釈明したが、他に未開示の文書がないか問われると「仮にあれば提出に努力したい」と明言を避けた。

 学園側は資金不足を理由に、「売却が原則」の国有地を、借りてから10年以内に購入する異例の定期借地契約を国と結んだ。15年3月31日の文書によると、学園側は契約の交渉で「国有地の地盤が軟弱だった」と主張し、貸付料の減額や、地盤改良の工事費を国が負担するよう要求した。

 近畿財務局は、国が負担するのは困難とみて「無理に借りていただかなくてもよいと投げかけることも考えている」と財務省の法務担当者に照会。「リスクがある契約は回避したいが、交渉する上でよい方法はないか」と愚痴めいた相談もあった。これに対し、法務担当者は「契約条件が整わない場合に相手の要請を受諾する義務はない」(同4月2日)と忠告した。

 しかしその4日後の文書では、財務局は「学校の16年4月開校への協力姿勢は堅持したい」と態度を変えた。13日の衆院予算委で、財務省の太田充理財局長は「国有財産を放っておくより、公共用に使ってもらえるならできるだけ進めるのが基本だ」と説明した。

 一方、新文書には交渉経緯の表が添付され、財務局と学園のその時々の主張が具体的に記されていた。学園は「住宅を建てるわけではないから、土地の価格は安くなるはず」「コンビニに貸すのと同じ考え方はおかしい」と、国有地の価格や貸付料を減額するよう何度も要求。15年2月からは籠池泰典理事長(当時)らが交渉に直接出席し、「土壌汚染対策費を(国が)言い値で支払うべきだ」などと主張した。【光田宗義】