天皇陛下の退位を巡って、宮内庁と安倍官邸の対立は、いまや周知の事実だ。

 そして、その背景には、歴史認識や憲法9条に関する考え方が、天皇陛下と安倍首相の間で正反対である事も、いまや多くのメディアが書くようになった。

 きのう発売の週刊現代(1月27日号)もまた、「よーく分った 安倍官邸は天皇陛下が大嫌い」という、4ページにわたる一大特集記事を掲載している。

 それを読むと、安倍官邸が宮内庁にいかに執拗に嫌がらせを繰り返してきたかがよくわかる。

 その中に、看過できない衝撃的な記述を見つけた。

 それは、事の発端となった2016年7月のNHKの生前退位に関するスクープ報道に関する杉田和博官房副長官のオフレコ発言である。

 そのスクープ報道は、天皇陛下の側に立つ宮内庁職員が、天皇陛下の意向を意図的にNHKにリークしたものだった。

 ギリギリまで知らなかった安倍首相の官邸は、天皇の宮内庁に先手を打たれた格好になった。

 その時、杉田官房副長官はオフレコで次のように語ったというのだ。

 「陛下がそういうご意向だから、世に出さねばならないと思ったのだったら、逆効果だよ。今回の事で、かえって官邸は動きづらくなった。政府側がどうにか忖度して進めるしかなかったのに、非常に迷惑な話だ。陛下がこれほど長生きされて公務を続けるというのは、誰も想定していなかった・・・」

 まるで長生きした天皇陛下が迷惑だと言わんばかりの発言だ。

 一官僚が、日本国と国民の統合の象徴である天皇をこのように軽々しく語る。
 この発言は、この国の天皇制とは一体何なのか、という根本問題を提起する聞き捨てならない発言だ。

 もし、杉田官房副長官が本当にこのような発言をしたとしたら、安倍内閣は即刻、総辞職ものだ。
 もしこの発言が誤報なら、週刊現代の発行元である講談社は、引責廃業ものだ。

 私は昨年12月に週刊新潮(12月14日号)の記事を引用して書いた。

 その記事によれば、退位をめぐる安倍官邸の横暴について天皇陛下は安倍首相に対して「御恨み骨髄」であると侍従職関係者が語ったらしいが、それが本当なら、天皇陛下をここまで怒らせた安倍首相は首相失格だと。

 もし誤報なら週刊新潮は引責ものだと。

 今度の週刊現代の杉田発言は、侍従関係者の「御恨み骨髄」発言よりもはるかに深刻な発言だ。
 真相をうやむやにして終わらせてはいけない。

 野党は国会でこの発言の真偽を追及しなければいけない。

 この国の天皇制の根幹にかかわる一大疑惑発言である。

 それよりもなによりも、退位を目前にして、ここまで天皇陛下と安倍官邸の対立が書き立てられること自体、不孝で悲しい事だ。

 それだけでも安倍内閣は総辞職ものである(了)