2017年12月28日05時00分

 憲法に基づく専守防衛の原則を逸脱することになる。容認できない。

 防衛省が海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」を空母に改修し、垂直着陸ができる最新鋭戦闘機F35Bを搭載する検討に入った。

 来年予定される防衛大綱の見直しや、次の中期防衛力整備計画の策定をにらんだ動きだ。年明けの通常国会での徹底的な審議を与野党に求める。

 性能上、相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる攻撃的兵器の保有は、自衛のための必要最小限度の範囲を超え、憲法上許されない。歴代内閣が踏襲してきた見解だ。

 政府はその具体例として、攻撃型空母や大陸間弾道ミサイル(ICBM)、長距離戦略爆撃機を挙げてきた。

 一方で「攻撃的兵器と防御的兵器の区別は困難だ」「防衛のための空母は持ちうる」という国会答弁もある。

 このため防衛省内では、離島防衛への活用を名目とし、「防御型空母と称する」「空母という名称を使わない」などの案が浮かんでいる。

 だがF35Bが発着できるよう改修すれば、安全保障関連法のもと、有事も含め世界のどこででも米軍の同型機への給油が可能になる。いくら防御型と称しても、攻撃型の実態をもつと言うほかない。

 「いずも」については、10年度予算案に建造費が盛り込まれた時から「将来的に本格的な空母に改修するのでは」との指摘が国内外からあった。

 これに対し、防衛省は「空母ではない」「打撃力を持つ戦闘機を載せる構想はない」と説明してきた。

 それが一転、改修し空母化を検討するという。当初からその狙いがあったのでは、と疑われても仕方あるまい。

 よく似た例が最近もあった。

 政府は来年度予算案に長距離巡航ミサイルの関連経費を計上したが、ここでも離島防衛などを理由に挙げ、敵基地攻撃のためではないと主張している。

 中国や北朝鮮の脅威を利用して、なし崩しに兵器の増強を進め、専守防衛の縛りを取り払いたい――。そんな安倍政権の思惑を指摘せざるを得ない。

 政府の説明が実態とかけ離れれば、外交の信頼性は低下する。財政難のなか防衛費の膨張を招き、周辺国と不毛な軍拡競争に陥る恐れもある。

 専守防衛を堅持し、近隣外交とのバランスをはかりながら、日本の安全をどう守るか。骨太な議論を期待したい。