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「告発延期」が決まった瞬間。大口弁護士(手前・後ろ姿)が懸命の説得を続けた。正面(ネクタイ)が藤田共同代表。=20日午後1時20分、東京地検前 撮影:筆者=

 きょう午後1時過ぎ、東京地検前―

 「森友デモ実行委員会・告発プロジェクト」の藤田高景共同代表は、告発状の提出に来たことを衛視に告げた。告発状(※)は安倍首相夫人の昭恵氏を公務員法違反の共謀共同正犯で訴える内容だ。

 市民団体が時の人・昭恵夫人を刑事告発するとあって、マスコミ各社の記者とカメラマンが群がった。

 告発状が出てしまえば、国会で野党がいくら追及しても、安倍首相や政府は「係争中につきお答えできない」と言い出す公算が大きい。

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 告発プロジェクトのメンバーのほとんどは、きょうの告発状提出に反対だ。

 ネット上の世論も「国会会期中は告発しない方がいい」とする声が8割以上を占めた。

 「困ったことになったなあ。原告が(告発状を)出すという以上、弁護士は断れないし・・・」。

 地検まで渋々同行した大口昭彦弁護士は、国会の動向やネット世論など客観情勢を的確に把握していた。

 思いあまった大口弁護士が藤田共同代表に言葉を向けた。

 「いっさい止めちゃうということではないんだから。ここで突っ込まない方がいいですよ。国会議員と一緒にやらなきゃ」。
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告発プロジェクトの仲間に制止されたが、藤田共同代表らは告発状提出のため東京地検に向かった。=20日午後1時頃、弁護士会館前 撮影:筆者=

 藤田氏の友人も「国会が終わって告発した方が世論は一気に来るよ」と説得した。

 「そうか。(きょうは)延期しよう」。藤田氏は吹っ切れた表情で説得に応じた。市民団体の分裂が回避された瞬間だった。

 事件の追及を続ける野党議員の秘書がホッとした表情で言った。「自民党から告発状が出てよかった、と持って行かれちゃう(恐れがあった)」。

 実際、複数の野党議員が水面下のパイプを通じて告発プロジェクトに「せめて国会が終わるまで告発は待ってくれ」と訴えた。

 昭恵夫人に対する刑事告発は、個人単位ではポロポロと出るようになった。だが集団告発はまだない。

 イデオロギーも運動経歴も違う人たちが、「森友事件の幕引きは許さない」の一点で結束してきた。それが「森友デモ実行委員会・告発プロジェクト」だった。

 告発プロジェクトは事件解明のための告発を止めたわけではない。

 もう一人の共同代表である田中正道氏は「野党の追及が たるく なったら、今度こそ(告発状を)出す」。

  ~終わり~
 
 (※)
安倍首相夫人の昭恵氏が昨年夏の参院選で自民党候補の応援に秘書の公務員を随行させて出かけた。秘書は公務員の政治活動を禁じた公務員法違反にあたり、昭恵夫人は共謀共同正犯にあたる。