“籠池砲”が、ついに政権の本丸である安倍晋三首相目がけてぶっ放された。

「安倍首相から(昭恵)夫人を通して2015年9月5日、100万円をもらった」と暴露し、国会は蜂の巣をつついたような大騒ぎだ。安倍夫妻が否定する中、3・23の証人喚問で次なる“籠池砲”は炸裂するのか?

「我々がこの学園をつくりあげようとしたのは皆さん方のご意思があってこそ。そのご意思の中には、誠に恐縮ですが安倍内閣総理大臣の寄付金も入っている」

 大阪府豊中市の「瑞穂の國記念小學院」予定地の現地視察に3月16日、訪れた参院予算委の議員団に対し、籠池泰典氏は報道陣にも聞こえる大声で、こう語った。

 視察に参加した山本太郎参議院議員がこう語る。

「籠池氏が『安倍首相からの寄付』と言ったとき、全員固まりました。自民党の山本(一太・参院予算委員長)さんなんか、もうフリーズ。その後は教室などを案内され『ここまできているから開校させて助けてほしい』と言われた。

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寄付については『昭恵夫人が講演に来たとき現金で主人からと言われ100万円をもらった。領収書は?と聞くと、結構ですと言われた』と。興味深いのは『関わった議員はなんぼでもいる。維新とか、あちこちに』と語っていたことです」

 その後、籠池氏は自宅で野党4党の議員と面談。野党幹部はその内容についてこう説明する。

「籠池氏は、今も安倍首相には好意的だったそうだ。迷惑をかけたくないから黙っていたが、このままでは工事業者らにも雇った教師にもカネが払えず迷惑がかかるから、言うしかないと。

国有地を買うとき、財務省から神風が吹いて入手できたとも話していた。財務省と大阪府の関係を国会で話したいと言っていた」

 安倍首相はこれまで、国会で「私や妻が(国有地売却や学校認可に)関係していたことになれば首相も国会議員も辞める」と答弁。籠池氏との個人的関係を頑なに否定してきただけに事実なら致命傷になりかねない。

 菅義偉官房長官は、安倍首相も昭恵氏も寄付をしていないと反論。一方、自民党の竹下亘国対委員長は「首相に対する侮辱だ」として、これまで拒否し続けていた参考人招致より重い、籠池氏の証人喚問に応じる強気の姿勢に転じた。

 真っ向から対立する両者の主張。ウソをついているのは、どちらなのか。自民党の総裁派閥・清和政策研究会の中堅議員はこう話す。

「証拠がなければどうしようもない。証人喚問でも裁判になっても籠池氏が負けるだけだよ」

 だが、民進党幹部は強気にこう語った。

「籠池氏は100万円の寄付のうち10万円を昭恵氏に戻したとも語っている。問題発覚後から最近までに、籠池夫人宛てに昭恵氏が送ったとされるメールが残っているという。安倍首相も把握していたようだ」

 籠池証言を裏付ける証拠の存在が今後の焦点になってきそうだ。前日の15日、上京した籠池氏から東京都港区の自宅で事情を聴いた著述家の菅野完氏は、本誌の取材にこう語った。

「渡された現ナマは森友学園名義で寄付口座に入れられ、昭恵氏の痕跡が残らないようになっている。現金のやり取りをしたのは、昭恵氏が小学校の名誉校長に就任した日です」

 菅野氏は17日、籠池氏側から提供された寄付者名簿と郵便局の払込票をネットで公開。寄付者名簿では昭恵氏が寄付したとされる100万円は森友学園名義にされており、郵便局への入金は15年9月7日と記録されていた。

同日付の払込票の「依頼人」の欄では当初、「安倍晋三」と書いた手書きの文字を修正液で消し、「森友学園」と直した痕跡が残されていた。

 国会で籠池氏の証人喚問が行われるのは3月23日。どんな証言をするのか。ヒントとなりそうなのが、籠池氏が菅野氏に話した内容だ。菅野氏はこう説明した。

「籠池氏は、3年くらい前から急に役所が小学校開校の計画に好意的になったという印象を抱いていた。大阪府私学課も、財務省近畿財務局も、後押しをするようになったと話した」

「財務省側は籠池氏に対し、迫田英典氏が理財局長である間に話を進めたほうがいいと言っていたらしい」

 迫田氏といえば安倍首相と同じ山口県出身で、15年7月に理財局長に就任。16年6月17日には国税庁長官に出世している。

 確かに迫田氏の在任中、物事が森友学園の思惑どおりに運んだようにみえる。15年9月3日、迫田氏は安倍首相と官邸で面会。4日には近畿財務局、大阪航空局の担当者が籠池氏側の工事業者らと面談した記録がある。

翌5日には昭恵氏が小学校の名誉校長に就任している。森友学園が8億円引きの “格安価格”で国有地の売買契約を締結するのは16年6月20日で、迫田氏が理財局長を退いたわずか3日後のことだ。

偶然にしてはできすぎではないか。菅野氏は次のように語る。

「僕は『全自動忖度機』と呼んでいますが、当時、大阪府、財務省など役所の中に安倍夫妻の意向を忖度し、森友学園の小学校をつくろうという流れは必ずあったはずです。

それは、籠池氏の出してくる書類の不備や経営状況の不安をいったん無視して、とりあえず学校をつくらせようという強い動きだった。それが国有地売却の問題が公になって以来、まったく逆の流れになっているわけです」

 ある省庁の幹部はこう証言する。

「私の同僚に昭恵氏から電話がかかってきて、『友人がこういうイベントを企画しているので、後押しを』と頼まれたことがある。すぐ局長クラスに話が上がり『とにかく粗相がないよう』となった。

昭恵氏にはそれほど影響力がある。今回も、学校のバックに昭恵氏や有力議員が多々ついており、役人は勝手に動く。電話一本や、事務所からの一言でもあれば、なおさらだ」

 菅野氏は迫田氏や松井一郎大阪府知事も国会で証人喚問すべきだと主張する。

 だが、当の松井氏は16日、一連の問題の原因について報道陣にこう語った。

「(財務局側が)首相の奥さんが名誉校長の学校に対して、申請がうまくいくようにいろいろと親切な対応をした」「役所組織みんなでおもんぱかったのだろう」

 財務省が勝手に「忖度」したというのだが、森友学園の陳情をきっかけに私立小学校の設置認可の審査基準を緩めた大阪府の責任はどうなるのか。前出の清和研所属議員も「維新も追及してよ」と顔をしかめる。

 安倍政権、維新の会が責任を押し付け合う格好だが、そもそも両者と籠池夫妻を結びつけるきっかけとなったのは「日本教育再生機構」とされる。日本会議ともメンバーが重なる団体で、〈教育を通じて国民意識を覚醒させ、国家への愛情を取り戻すこと〉(HPから)を標榜。

そして森友学園も同機構と関係があり、3月には関連のイベントで籠池氏の娘がパネリストを務めることになっていた。保守運動に詳しい「子どもと教科書全国ネット21」事務局長の俵義文氏がこう語る。

「安倍氏と松井氏は12年2月、大阪で行われた『日本教育再生機構』のシンポジウムで会談したのをきっかけに意気投合している。安倍政権と維新の会が目指す教育方針を体現しようとしたもの、それが森友学園が開校しようとした瑞穂の國記念小學院だったわけです。

国や大阪府の役人らがこうした構図も忖度して後押ししたと考えれば、いろいろなことのつじつまが合う」

(本誌・小泉耕平、村上新太郎 大塚淳史/今西憲之)