福島原発事故後の甲状腺がん問題で、改めて福島県内外での甲状腺検査の拡充が必要な実態が明らかになった。

昨年9月に発足、甲状腺がん、またはその疑いとされた子どもの療養費事業を始めた「3・11甲状腺がん子ども基金」(崎山比早子代表理事)は昨年末、35人への第1回給付を会見で発表。

申請書を分析し、患者が抱える深刻な課題を明らかにした。福島県26人のほか、神奈川県3人、宮城、群馬、千葉、埼玉、長野、新潟各県1人。

3月末まで給付対象者を募っている。


会見では、
 
(1)福島県の県民健康調査以外で見つかったケースや、福島県の医療費助成「サポート事業」給付対象外のケースがあった。検診や助成制度に課題、

(2)アイソトープ治療(甲状腺から離れた臓器に転移した場合などに、放射性ヨウ素を服用してがん細胞を破壊する治療)が必要な患者は3人で、全員が福島県外。腫瘍径が大きく、肺転移などの重症例が多い、

(3)病気や腫瘍の大きさなどを医療者側から十分説明されていない患者がいる、

(4)治療費、通院交通費など経済負担が大きく、困窮化、

(5)甲状腺がんであることを知られたくない、自由に語りにくい環境――などの問題を指摘した。

重症化したケースは、「検査の見落としや、2~5年間隔の検査の間に腫瘍が成長した可能性も否めない」と指摘、

「『甲状腺がんは予後がいい』『手術しない方が良い』と言う専門家がいるが、『予後』とは治療後の生存率が良いということで、何より早期発見、早期治療が大切」とした。

患者に対しては、療養費だけでなく、身近な地域で相談できる人など、患者ニーズからの支援も必要だ。しかし治療と経済的な負担だけでなく、差別や偏見から、患者自身が声を上げて社会に訴える状況にはない。

「『患者がいることが復興の妨げになっている』というような認識、雰囲気が社会にまん延している。異常な事態」(崎山代表理事)の打破が必要だ。

(あいはらひろこ・ジャーナリスト、1月20日号)